冷えが不妊の大きな原因であることは古くから言われ続けています。
冷え性の症状は手足が冷たい、おなかや腰が冷える。体全体が冷える。寒い。とさまざまな症状を訴えられます。
私たちはそれらの症状をひっくるめて冷え性と呼んでいますが、
よく症状を聞いていくと冷えにもさまざまなタイプがあることがわかります。
ひざから下が冷える方、ソックス状に冷える方、腰から下が水につかるような冷えを感じる方、手も足も冷たくなる方、指先だけが冷たくなる方、冷房の風に当たると急に冷える方。
さまざまなタイプがあり、状態と体質に合わせた治療を行います。脈を診ながら全体の体調を整え、冷えている局所に血液が届くようにし、必要な場合にはお灸を行います。お灸はほんのり暖める感じのお灸でやけどはしません。
患者さんから冷えに対処するにはよくどんな生活を心がけたらいいでしょうかとよく聞かれます。
冷え性の方が留意すべき点は下記のいくつかです。
1.下半身を冷やさない。
2.栄養は偏らないように。
3.生ものは食べ過ぎない。火を通したものを食べるように。
4.糖分は取り過ぎない。
5.適度な運動をする。
6.極端な厚着はしない
7.加温しない(カイロや電気毛布は最低限に)
1の下半身を冷やさないというのは当たり前のことですので、ここで解説するまでもありませんね。
2.3・4は食事に関する注意事項ですが、女性の方はヘルシーな食べ物というと油分とカロリーが少なく野菜中心ということをイメージされる方が多く、その結果、たんぱく質や脂質が極端に足りない方が時々いらっしゃいます。
たんぱく質が不足すると冷えてくることはあまり知られていません。
また、フルーツや生野菜を取りすぎると冷えてくることも経験上わかっています。それから甘党の方には恐縮ですがお菓子や清涼飲料水などで糖分を取りすぎる方も冷えてきます。あたりまえのことですがジャンクフードはほどほどに。
5.適度な運動はひとそれぞれどの程度が適度なのかさまざまですが、翌日に疲れが残らない程度を目安にするといいでしょう。
6.極端な厚着をしない。というのは冷えを極端に嫌うあまり、年中厚着をしている方がいらっしゃいます。これはとても見落としやすい点なのですが、厚着をするあまり服の中で汗をかいてしまいます。これは絶対だめ。汗が出て下着が湿っぽくなるということは濡れたタオルを背中やお腹に当てているのと同じことになり、かえって冷えてしまいます。
夏以外の時期に腹や背中に手を入れて湿っていたら厚着のしすぎです。ご確認を。
7.加温をしない。これも多くの方が誤解をしていますが、加温すると冷えが治ると考えて一年中カイロを背中やお腹に当てている方がいます。
これも却って身体に悪いことが多いのです。私たちの身体は基本的には自律的に血行を調整しています。冷え性はその調整がうまくいかなくなったときにおこるので、強制的に暖めれば血行がよくなって冷えが改善されると考えがちですが、
カイロなどで長時間温め続けると局所的に充血し、却って体の調子が狂ってきます。
例えば、コタツでうたた寝した後に体がとてもだるいのは、下半身や体表面だけが血行がよくなりすぎ全身の調子がおかしくなるからです。また、暑い風呂に長くつかるとのぼせてくるのも同じような理由です。カイロをいつも当てると局所的に自律神経が不自然な状態になり、結果的に体の調子が崩れて来る場合があります。カイロを使うときは冷えが強いときに一時的に暖めて辛くなくなったら使うのをやめることが必要です。